収入が多いと受給額が減るかも!バイトを考え中の年金受給者は注目

2017-03-09

年金は老後における大事な生活費となるものですが、ひと昔前と比べると支給開始年齢が引き上げられたり、支給額が減少したりしています。そのため、「会社を退職して時間が余ったら、少しアルバイトでもしてみようかな?」と考えている人もいるかもしれません。しかし、年金を受給している人がアルバイトで収入を得た場合、毎月の給料が一定額を超えると、もらえる年金が減少する可能性があることをご存じでしょうか?

結論から言うと、厚生年金を受給している人だけが減少するケースがあるのですが、一体どういう仕組みになっているのか一緒に考えてみましょう!

厚生年金だけが減額対象になることについて

年金は社会保険の一種で「国民年金」と「厚生年金」の2種類があります。厚生年金基金や確定給付年金、場合によっては企業年金がある会社もあるでしょう。また、かつては農業者が加入する農林年金や公務員が加入する共済年金も存在していましたが、農林年金は2002年4月1日、共済年金は2015年10月1日から厚生年金に統合されました。(1)(2)

国民年金は別名「基礎年金」とも呼ばれ、すべての年金の基本となる年金で、20歳以上60歳未満のすべての国民が加入することになっています。一方、厚生年金は主に公務員や会社などの組織に勤めている人が対象となる年金で、老齢年金が支給される場合には基礎年金である老齢基礎年金に老齢厚生年金が加算されます。

「年金を受給しながらアルバイトをすると、年金が減額される」というのは、厚生年金に対してだけの規定であるため、厚生年金被保険者のみが該当するのです。そのため、国民年金の部分に関しては減額されません。(3)

また、働きながら年金を受給する在職老齢年金の期間中は、厚生年金保険料を納めますので、将来の年金は増えるというメリットがあります。

国民年金と厚生年金の違いについて

国民年金と厚生年金の違いについて、もう少し詳しく述べてみます。

国民年金は先ほど述べたように20歳以上、60歳未満の日本国内に住所を有する人が加入するよう義務付けられている年金です。そのため、20歳を超えていたら自営業者や学生、主婦であろうと加入しなければなりません。国民年金の保険料は全員一律で、年収とは関係ありませんが、全額自己負担をする必要があります。

それに対して、厚生年金は厚生年金保険の適用事業所に雇用されている70歳未満の会社員が加入することになっています。

保険料は毎月の給与と賞与を含めた「平均標準報酬月額」を元に、収入に応じて計算されています。つまり、収入が多い人程支払う保険料も多くなっているのです。ただし、厚生年金の保険料は労働者と会社の折半ですので、労働者は本来支払うべき保険料の半分の負担で済みます。

アルバイトは厚生年金に加入しなくて良い場合がある

アルバイトをする場合は厚生年金に必ず加入することになるのでしょうか?基本的にはアルバイトだけではなく、パートや嘱託でも厚生年金には加入しなければなりません。

まず、厚生年金に加入する事業所の大前提は「法人であること」です。また、個人事業主の場合であっても「法務業、農林水産業、サービス業以外で常時5人以上の従業員を雇用している場合」は、厚生年金に加入しなければなりません。

ただし、上記の条件を満たしている場合でも、「1日の労働時間や1カ月の勤務日数が正社員の4分の3未満」である場合は、「常時雇用しているもの」とはみなされないため、厚生年金に加入する必要はありません。

厚生年金を受給しながらアルバイトをする際は、「1日の労働時間や1カ月の勤務日数はどの程度になるのか」をよく考えた上で勤務するようにしましょう。(4)

減額される可能性があるのは「在職老齢年金」!

厚生年金を受給しながら、アルバイトなどの給与収入を得たいという人は、どういった場合に減額されるのかを知っておきましょう!

60歳以降も老齢厚生年金を受給しながら厚生年金の被保険者として勤める場合は、受給する年金のことを「在職老齢年金」と呼びます。

わざわざ老齢厚生年金と名前を分けているのは、この在職老齢年金には毎月の給与や賞与に応じて受給できる年金に減額調整がされるからです。在職老齢年金は年齢によっても区別されています。

「60歳以上から65歳未満」、「65歳以上から70歳未満」、「70歳以上」の3つで、それぞれに減額調整される基準が異なります。(5)(6)

老齢厚生年金の金額はどうやって計算するの?(60歳代前半の場合)

それでは、老齢厚生年金の受給について調べましょう。

まず60歳以上から65歳未満の60歳代前半については、老齢厚生年金の1年間の受給額を12分の1にした基本月額と、毎月の給与と直近1年間の賞与の12分の1の金額を足し算した総報酬月額相当額との合計額が28万円を超えると減額調整されようになっています。(7)

少し分かりにくいと思うので、例として老齢厚生年金の1年間の受給額が240万円、直近1年間のアルバイトの給与合計が60万円(賞与なし)だった場合を考えてみます。

老齢厚生年金の基本月額は「240万円÷12=20万円」で、総報酬月額は「60万円÷12=50,000円」となり、「20万円+50,000円=25万円」となるので、28万円を超えないということになり、年金は満額支給されることになります。

しかし、もし合計が28万円を超えてしまった場合は、超えてしまった額の2分の1が減額されてしまうので、仮に基本月額と総報酬月額の合計が30万円だった場合は「(30万円-28万円)÷2=10,000円」となり、月額で10,000円ほど減額されるのです。

ただし、総報酬月額相当額が47万円以上の人の場合は多少計算式が異なりますので、近くの年金事務所などに問い合わせて確認することをおすすめします。

老齢厚生年金の金額はどうやって計算するの?(60歳代後半と70歳以上の場合)

次に65歳以上から70歳未満の60歳代後半について見ていきます。

60歳代前半と後半の違いは、基本月額と総報酬月額の控除額の違いで、60歳代前半が28万円だったのに対して、60歳代後半は47万円になっています。

つまり、老齢厚生年金の1カ月分と賞与を含んだ毎月の給与が47万円を超えていなければ、減額されることはありません。また、もし47万円を超えた場合は60歳代前半と同様に、超えた金額の2分の1が減額調整される仕組みとなっています。

また、70歳以上の方が厚生年金が適用される会社に勤めている場合ですが、老齢厚生年金が調整される条件は60歳代後半と同様で、基本月額と総報酬月額の合計が47万円を超えた場合となっています。

ただし、70歳以上の人は厚生年金の被保険者ではなくなるので、保険料を負担する必要がなくなるというメリットがあります。(8)

働きすぎると手取りが減る可能性がある?

先ほどの例で説明したように、60歳代前半では、基本月額と総報酬月額の合計が30万円になると、月額で10,000円の年金が減額されてしまいます。しかし、仮に基本月額と総報酬月額の合計40万円を稼いだ場合は、「(40万円-28万円)÷2」で60,000円が減額対象です。つまり、収入は10万円増えていても、手取りは5万円しか増えないということになります。

また、給与所得が多くなると年金額の減額だけではなく、所得税や住民税などの税金も対象になってくることがあるので、手取りはさらに減る可能性があります。

ただし、先ほど述べたように、厚生年金保険料を納めているので、将来受け取る年金が増えるというメリットはあります。この金額が大きいと思うかどうかは人それぞれかもしれませんが、メリット、デメリットをよく理解した上で仕事を行うようにしましょう。

確定申告をしなければならない場合もある

「所得税や住民税が対象になる可能性がある」と聞くと、「年金受給しながらアルバイトすると確定申告をする必要があるの?」と思う人もいるかもしれません。

確かに年金受給者がアルバイトをする場合は確定申告が必要になるケースもありますが、その対象は「公的年金等の収入金額の合計額が400万円以上であること」又は「400万円以下だが、1年間の給与収入から給与所得控除を引いた金額が20万円以上である場合」です。

1年間の給与収入が162万5,000円以下の場合における給与所得控除は65万円ですので、その場合は1年間に85万円以上のアルバイト収入がある人が対象になります。

ただし、職場で源泉徴収を行われている場合は確定申告をしなくても良い場合がありますので、1度職場や税務署へ確認してみると良いでしょう。(9)

年金を受給しながらのアルバイトをすると、厚生年金の場合は減額調整される可能性があり、給与収入の金額によっては確定申告もが必要になることがあります。

年金を受給しながら働く時は、上記のことをよく調べるようにしてくださいね。

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